はじめに
MMORPGの歴史を語るうえで、
EverQuest:エバークエスト(以下EQ)は避けて通れない存在です。
そのEQの長い歴史の中でも、日本ではあまり知られていない事件があります。
それは当時のプレイヤーたちに強烈なトラウマを残した事件でした。
それが
**「Plane of Fear 全滅トラップ事件」**です。
この事件は、現在のMMORPGではほぼ起こりえない、
開発者・ゲーム仕様・プレイヤーの認識不足が完璧に噛み合って発生した悲劇でした。
本記事では、この事件が
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なぜ起きたのか
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何が問題だったのか
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この事件が起こした影響
これらを整理して解説します。
- はじめに
- Plane of Fearとは何だったのか
- 侵入=即戦闘という狂気の設計
- 全滅トラップが完成した瞬間
- EverQuest特有の「死の重さ」
- GM(運営)は助けてくれなかった
- この事件が残した影響
- まとめ:これはゲーム史における「事故」だった
Plane of Fearとは何だったのか
Plane of Fear(恐怖の平面)は、EQ初期に実装された高難易度エンドコンテンツです。
特徴は以下の通り。
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レベル上限近いプレイヤー向け
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死神・恐怖をモチーフにしたマップ
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異常な数の敵が常駐
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当時としては破格のレア装備がドロップ
そして最大の特徴は、
「侵入方法そのものが危険」だった点にあります。
侵入=即戦闘という狂気の設計
Plane of Fearへは、専用の転送魔法(テレポート)でしか入れません。
そうであるにも関わらず、
テレポート先は完全にランダムでした。
つまり、
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安全地帯に行きたくても行けない
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敵のど真ん中に落ちる可能性がある
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落下直後から即タコ殴り
という仕様でした。
さらに恐ろしいのは、敵がリンク(集団反応)する点です。
1人が攻撃される
↓
周囲の敵が一斉に反応
↓
集団リンチに遭う
この時点で既に嫌な予感しかしませんが、ここからが悲劇の始まりです。
全滅トラップが完成した瞬間
事件が起きたのは、大規模レイド(40人以上)で挑戦したときでした。
流れはこうです。
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レイドメンバーが順番にテレポート
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先行組が敵に絡まれて死亡
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後続が同じ地点付近に転送
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敵が増殖し、戦場が地獄絵図に
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プレイヤーのドロップ回収隊すら即死
結果、
ほぼ全員が死亡、死体が回収不能な状態になりました。
EverQuest特有の「死の重さ」
この事件をより深刻にしたのが、EQ独特の死亡ペナルティです。
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経験値を大量に失う
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装備は死体に残る
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死体は時間経過で消える
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結果、再度Plane of Fearへ行く必要がある
つまり、
「死体を取りに行くために、さらに死ぬ」
という完全な負のループが発生しました。
GM(運営)は助けてくれなかった
現代の感覚だと
「運営が介入すべきでは?」
と思うかもしれません。
しかし当時のEQ運営は、基本スタンスとして
「それも含めて世界」
でした。
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バグではない
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想定内の仕様
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プレイヤーの選択の結果
という判断が下され、
GMは救済処置を行いませんでした。
結果、多くのプレイヤーが
装備とレベルをロストしてしまい、引退に追い込まれました。
エンドコンテンツまでたどり着いた
屈強なプレイヤー達に待っていたのはまさかの全ロス。
当時の様子を知る一人のプレイヤーは
時間も情熱も全てを注ぎ込んだ結果、残ったものは何もなかった。
と語っています。
この事件が残した影響
この事件以降、MMORPGは徐々に変わっていきます。
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セーフゾーンの設置
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死亡ペナルティの緩和
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レイド前の準備エリア
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運営の介入基準の明確化
つまりPlane of Fear事件は、
MMORPGが「遊びやすい方向」へ進む転換点の一つだったとも言えます。
まとめ:これはゲーム史における「事故」だった
Plane of Fear 全滅トラップ事件は、
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誰かが悪かったわけではない
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しかし確実に人を傷つけた
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そして今のゲーム設計を形作った
ゲーム史における重要な事件でした。
EverQuestは優しくはありませんでしたが、
その厳しさがあったからこそ、
「仮想世界に生きている感覚」を体験できたとも言えるでしょう。