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なぜPlayStation Vitaは普及しなかったのか

携帯ゲーム機の歴史を振り返ると、革新的な性能を持ちながらも市場で苦戦したハードがいくつか存在します。その代表例が PlayStation Vita です。

引用:ウィキメディアコモンズ

2011年にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたこの携帯ゲーム機は、高性能なグラフィックや美しい有機ELディスプレイなど、当時としては非常に先進的なスペックを備えていました。

しかし結果として、Vitaは前世代機であるPlayStation Portable の成功を引き継ぐことができず、市場での大きな普及には至りませんでした。

それでは今回も、
PlayStation Vitaがなぜ普及しなかったのかを、ゲーム史の観点から解説します。


PlayStation Vitaとはどんなゲーム機だったのか

PlayStation Vitaは、2011年12月に日本で発売された携帯ゲーム機です。

当時の携帯ゲーム機としては非常に高性能で、「据え置き機並みのゲーム体験」を携帯機で実現することを目標として開発されました。

  • 高解像度の5インチディスプレイ(初期モデルは有機EL)

  • デュアルアナログスティック搭載

  • タッチスクリーンと背面タッチパッド

  • 高性能GPUによる美しい3Dグラフィック

  • ダウンロードゲームやオンライン機能の強化

PS3と同等のグラフィック性能を有し、
当時の携帯ゲーム機の中では、性能面で圧倒的な存在でした。

にも関わらず、携帯ゲーム史としてみると失敗に終わっているわけです。

一体なぜでしょうか?


理由①:スマートフォンゲームの台頭

PlayStation Vitaの最大の不運は、発売時期にありました。

2010年代に入ると、
パズル&ドラゴンズモンスターストライク
といったスマートフォンゲームが急速に普及します。

スマートフォンは既に多くの人が持っているため、追加のゲーム機を購入する必要がありません。

その結果、携帯ゲーム機市場は大きく縮小していきました。

過去にPS2の記事を書きましたが、そのPS2が大きく普及したときと同じです。
スマートフォンが「ただの携帯電話」ではなく、ゲームや動画も見れたわけです。

携帯ゲーム機の様に常に持ち歩き、基本無料のゲームが現れた。

この流れは、Vitaだけでなく携帯ゲーム機全体に影響を与えました。


理由②:専用メモリーカード問題

Vitaには大きな欠点がありました。
それが「専用メモリーカード」です。

PlayStation Vitaは、一般的なSDカードを使用できず、専用のメモリーカードを購入する必要がありました。

しかも価格が高く、

  • 16GBで数千円

  • 32GBではさらに高額

という状況でした。

ユーザーからは

「ソフトよりメモリーカードが高い」

という批判も多く、購入のハードルになりました。


理由③:キラータイトル不足

ゲーム機が成功するためには、
そのハードを買う理由になる「キラータイトル」が必要です。

例えば

  • ゲームボーイでのポケットモンスター 赤・緑

  • PSPでのモンハン2nd G

しかしVitaでは、ハードを爆発的に普及させるタイトルが登場しませんでした。

ただ人気作品が無かったわけではありません。

ペルソナ4ザ・ゴールデンやグラビティデイズといった有力ソフトもありました。

ですが、これらのソフトはPS4でも発売されることとなってしまい、
結果として市場全体を動かすほどの作品にはならなかったのです。


理由④:競合ハードの存在

Vitaが戦っていた相手は強力でした。

それがニンテンドー3DSです。

Vitaが全世界で1581万台だったのに対し、
3DSシリーズは7549万台を売り上げます。

発売当初こそ3DSは苦戦しましたが、
大幅な値下げと強力なソフトラインナップで急速に普及します。

特に以下のシリーズが強力でした。

  • ポケットモンスター X・Y

  • モンスターハンター4

  • とびだせ どうぶつの森

これらの作品が携帯ゲーム市場を大きく支配しました。

また筆者視点で当時の事を振り返ると、
モンハンがPSからDSに移った時の衝撃は凄まじいものでした。

それだけ次世代機であるVitaが不振だったということでしょう。


理由⑤:据え置き機との役割の曖昧さ

Vitaは「据え置き級のゲーム体験」を目指していました。

しかしこのコンセプトには問題がありました。

据え置きゲームを遊びたい人は
PlayStation 4 を買います。

一方、携帯ゲーム機に求められるのは

  • 手軽さ

  • 短時間プレイ

  • シンプルなゲーム

でした。

つまりVitaは

据え置き機と携帯機の中間に位置する曖昧な存在

になってしまったのです。


PlayStation Vitaは失敗だったのか

市場としては苦戦したVitaですが、
評価が悪いというわけではありません。

現在でも多くのファンが存在し、
次代の先を行く名作ゲーム機として語られることも多いです。

特に次の点は高く評価されています。

  • 高品質なディスプレイ

  • 携帯機としては優れた性能

  • 個性的なゲームソフト

また、インディーゲームとの相性が良く、
多くの小規模作品がVitaで遊べるようになりました。


まとめ

PlayStation Vitaが普及しなかった理由は、複数の要因が重なった結果でした。

主なポイントを整理すると次の通りです。

  • スマートフォンゲームの急速な普及

  • 高価な専用メモリーカード

  • 市場を動かすキラータイトル不足

  • ニンテンドー3DSとの競争

  • 据え置き機との立ち位置の曖昧さ

しかしVitaは決して失敗作ではなく、
ゲーム史の中では「早すぎた携帯ゲーム機」とも言われています。

携帯ゲーム機の役割が変化していく時代の中で生まれたこのハードは、今でも多くのゲームファンに愛されている存在なのです。