はじめに
前回記事:【ゲーム機の歴史⑥】2010年 体感 vs 高性能──Wii・PS3・Xbox 360の三国時代
Wii・PS3・Xbox 360の時代を経て、
家庭用ゲーム業界は「性能競争」から一歩先へ進みました。
それが、
思想・戦略・エコシステムで戦う時代です。
2010年代後半から現在にかけて、
ゲーム業界は以下の三社による三強体制へと収束します。
-
任天堂
-
ソニー
-
Microsoft
しかし重要なのは、
この三社が同じ方向を向いていないという点です。
- はじめに
任天堂:遊び方を再定義する「Nintendo Switch」
2017年、任天堂はNintendo Switchを発売します。

Switchの最大の特徴は、
据え置き機と携帯機の境界をなくしたことです。
-
家ではテレビで
-
外では持ち運んで
-
どちらも同じ体験
この「ハイブリッド型」という発想は、
単なる利便性ではなく、
ゲームとの付き合い方そのものを変えました。
任天堂の強みはIPと独自性
Switchを支えているのは、
圧倒的なファーストパーティIPです。
-
マリオ
-
ゼルダ
-
ポケモン
-
スプラトゥーン
-
どうぶつの森
これらのタイトルは、
性能ではなく遊びの体験そのもので評価されます。
任天堂はこの時代でも一貫して、
「他社と同じ土俵で戦わない」戦略を貫いています。
結果、他社製品とシェアを奪い合うことがなく、
世界売り上げ台数も9600万台と安定した人気を獲得します。
ソニー:映像と物語を極めるPlayStation
PS4時代の完成度
2013年、ソニーはPlayStation 4を発売します。

PS4は非常にバランスの取れたゲーム機でした。
-
開発しやすい設計
-
高品質な独占タイトル
-
世界市場を意識した戦略
更にはPS3時代の反省を活かし、
「アサクリ4」「CoDゴースト」「BF4」「KNACK」「KILLZONE」等、ローンチタイトルのラインナップを充実させます。
特にBF4は世界的な大ヒットを記録し、
Xboxと合わせて世界で700万本の売り上げを達成します。
その後も魅力的な独占タイトルを展開。
-
高難度フロムゲー「Bloodborne」
-
前作から続く「The Last of Us Part II」
-
重力アクション「グラビティデイズ」
- ドラマチックなオープンワールド「Horizon Zero Dawn」
結果としてPS4は、
世界的に大きな成功を収め、売り上げ台数は1億1700万と劇的なV字回復を見せます。
PS5が目指す「体験の深化」
2020年に登場したPlayStation 5では、
ソニーは「没入感」をさらに突き詰めます。

-
高精細な映像表現
-
触覚フィードバック付きコントローラー
- 超高速SSDによるロード短縮
PS5は、
映画的体験の完成形を目指すゲーム機と言えるでしょう。
しかし、新型コロナウイルスの影響で十分な生産体制を確保できず、結果として2025年時点での売り上げ台数は約8400万台とPS4の様に上手くは行きませんでした。
Microsoft:ゲームを「所有」から「利用」へ
2020年、Microsoftは、この世代で
最も大胆な方向転換を行いました。
Xbox Series X|SとGame Pass

Xbox Seriesの真の主役は、
ハードそのものではなくサービスです。
-
Xbox Game Pass
-
クラウドゲーミング
-
PCとの統合
これにより、
「ゲームを買う」から
**「ゲームを利用する」**という価値観が生まれました。
プラットフォームの再定義
Microsoftは、
もはやXboxを単なるゲーム機とは考えていません。
-
PC
-
スマートフォン
-
クラウド
これらすべてを含めた
巨大なゲーム基盤を構築しようとしています。
三社三様の勢力図
現代のゲーム業界は、
販売台数だけでは語れません。
| 企業 | 強み |
|---|---|
| 任天堂 | IP・独自体験・携帯性 |
| ソニー | 映像表現・物語・没入感 |
| Microsoft | サービス・サブスク・クラウド |
それぞれが
異なる価値を提供しているため、
単純な勝者は存在しない時代です。
割り込んだ第四の存在──iPhone
iPhone登場以前のゲーム市場
かつてゲームといえば、
-
家庭用ゲーム機
-
携帯型ゲーム機
この二択が当たり前でした。
「ゲームは時間と場所を確保して遊ぶもの」だったのです。
iPhoneが変えた3つの常識
① ゲームは“起動するもの”から“常にそこにあるもの”へ
iPhoneは、常にポケットの中にあります。
これによりゲームは、
-
起動のハードルが極端に下がり
-
数分単位で遊ばれるもの
-
暇つぶし・習慣として消費されるもの
へと変化しました。
② 課金モデルの革命
スマホゲームは、従来の「買い切り」を崩壊させました。
-
基本無料
-
ガチャ
-
バトルパス
-
継続課金
このモデルはCS(家庭用ゲーム)にも影響を与え、
現在ではDLCやシーズン制が当たり前になっています。
③ 「ゲーム人口」の爆発的拡大
iPhoneは、ゲームをしなかった層を大量に取り込みました。
-
年齢
-
性別
-
ゲーム経験
これらの壁を越え、
「ゲームをやっていない人」の方が少ない社会を作り出したのです。
ハード戦争からエコシステム戦争へ
この時代の本質は、
「どのゲーム機が一番高性能か」ではありません。
-
どんな体験ができるか
-
どこで、どう遊べるか
-
どれだけ長く使えるか
つまり、
エコシステムの戦いへと移行したのです。
ゲーム機の未来はどこへ向かうのか
現代の四強時代は、
ゲーム業界の完成形ではありません。
-
クラウドの進化
-
AIによる開発支援
-
仮想空間との融合
家庭用ゲーム機は、
これからも姿を変え続けるでしょう。
しかし一つだけ確かなのは、
「遊びたい」という人間の欲求が消えない限り、
ゲーム機もまた進化し続けるということです。